こんな話 2020年10月13日|火曜日
長野県茅野市 尖石縄文遺跡を訪ねて
長野県 諏訪地方は、本州で最後まで縄文文化が残った場所として知られています。
長野県茅野市 尖石縄文遺跡
尖石縄文遺跡は、長野県の諏訪湖の北東に位置する丘陵地にあります。
尖石遺跡には、2つの国宝が見られます。
「縄文のビーナス」
1986年(昭和61年) 近くの棚畑遺跡で出土。
縄文中期 約4000~5000年前
謎のヘルメット。
帽子?
左巻きのとぐろ。
ターバン?
お尻プリン。
北方系狩猟民族の防寒用の帽子にも似ています。
ヘビをイメージしたとも言われています。
縄文文化にはヘビをデフォルメしたものが多くあります。
ヘビは脱皮をするので、不老長寿のシンボルとして縄文人に崇められたかもしれません。
一説によると、神社のしめ縄も、縄文からのヘビ信仰が今に伝わっているとも。
「仮面の女神」
2000年(平成12年) 中ッ原遺跡から出土。
縄文時代後期前半 約4000年前
こちらも女神、つまり女性をイメージしています。
畑仕事をしていた女性が偶然、土の中から発見しました。
そのとき、ものすごく「寒気」がしたそうです。
この土偶が土の中から出てきたら、それはもう驚くでしょう。
ただならぬ存在感があって、神がかっています。
左右非対称の文様。
仮面の呪術的な雰囲気。
縄文土偶の別の一面、つまりこの世ではない、別の世界の異形なものが感じられます。
縄文土器いろいろ
縄文土器の文様は、ずっと眺めていられます。
3Dのようなもので、見る角度によって全く違う表情を見せてくれます。
完成度の高い縄文土器は、360°どこからでも眺められるような展示の仕方が良いでしょう。
もし世界遺産に登録されたらぜひ現代的な見せ方に工夫していただきたいです。
翡翠 ひすい
翡翠のなんとも言えない淡い緑色。
日本の縄文遺跡には必ず見られます。
これもおそらく新潟県糸魚川流域、姫川あたりのものでしょう。
ここしか採れないとされています。
北海道から九州まで翡翠は広がりました。
縄文時代にはすでに日本全土にまたがる交易ルートがあって、海路も使われていたのではないか、と言われています。
国宝に指定されている縄文の「土偶」は5体。
「縄文のビーナス」 長野県
「仮面の女神」 長野県
「縄文の女神」 山形県
「合掌土偶」 青森県
「中空土偶」 北海道
これらの国宝土偶の特筆すべきところは、造形美もさることながら、ほぼ完全体で出土しているところにあります。
実は、これまで出土したほとんどの土偶は破損した状態で発見されました。
わざと壊して地中に埋める風習があったのではないかとも言われています。
教科書でおなじみの、
「遮光器土偶」 青森県亀ヶ岡遺跡は、左足が欠けており、
こちらは重要文化財です。
土偶とは何か?
祈りの時に使われた「らしい」としか、まだ分かっておらず永遠の謎で想像するしかありません。
私ができることは、お土産……いや、教材として博物館の売店で売られていた土偶の実物大のレプリカを購入することでした。
歴史の授業をする時に土偶が出てきたら、棚から持って来て、塾生に触ってもらいます。
一人ずつ順番に触って送ります。
ちょっと重いです。
みんなこわごわ触ります。
手で触って実感すれば、また違った感覚を得られます。
土偶と埴輪、ドグウとハニワ、どっちがどっち?
とよく質問を受けます。
百聞は一見に如かず。
これを見なさい!
ドーンと。
見せたいわけです。
そして、教養堂を見守ってもらうための魔除けとしても。
手作りで作られた土偶の置物。
しっかり丁寧に作られています。
土偶は縄文時代
埴輪は古墳時代
時代が違います。
土偶は祈りのため、埴輪は古墳の周りに置かれた土製の人形。
以前から教養堂の棚に鎮座していた埴輪の「踊る人」
隣に、土偶の「仮面の女神」を置いてみました。
2人で何やら楽しそうです。
塾生が帰って静まり返った教養堂。
夜な夜な、2人で会話していたりして……。
左:古墳時代の埴輪「おどる人々」 右:縄文時代の土偶「仮面の女神」
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