勉強の話 2017年11月28日|火曜日
算数 上達の道Ⅱ 「美」
算数は高学年になるほど「美」が要求されます。
複雑な問題になるほど、そこには解答に至る道筋を他人が見て分かるようにしないといけません。
他人が見て分かるというのは、理路整然としたきれいな解答が必要なわけです。
自分だけが見て分かるというものはいけません。
学問は人類の共有財産です。過去の遺産を未来へつなぐという意味において、かならず他者に説明できないといけないです。この場合の他者とは隣人であるかもしれないし、同時代人かもしれないです。ひょっとすると、まだ見ぬ未来の人かもしれません。
これは学問の作法と言えます。
それを踏まえて算数に取り組まれると良いでしょう。
例えば
5+3×2÷6
これは
例A
5+3×2÷6=5+6÷6=5+1=6
と書いても正解に至りますが、ちょっと読みにくいですね。
これはどうでしょうか。
例B
5+3×2÷6
=5+6÷6
=5+1
=6
縦に一つの途中式を並べました。
さらに左端に=の位置を揃えています。
上下で計算の過程がすぐ分かります。どこの列で間違えたか振り返ることがたやすいです。
また「目」というものは、横に追っていくよりも、縦に見ていく方が楽なのではないでしょうか。これは経験則ですが。
1行でぱっと見ることができるので、それを上から下へスライドした方が、視点の移動のロスが少ないのです。
ですから、見直しのスピードも速くなります。視覚的にもミスを防げます。
例Aも例Bも正解に至るという点では、どちらも正解です。
しかし、どちらが他者へ思考を開いているかというと、例Bになります。
このように美的感覚を養っていくと、図形問題の証明その他でも役に立つのです。
ですから、算数・数学というものは「美」を追求する学問だと言えるでしょう。
デザイナーの佐藤可士和さんは、自身の事務所では打ち合わせの椅子の位置を専用の定規で測り、寸分ずれずに配置するそうです。デザインというものは非常に細かい作業が必要なので、日頃からすべての事に繊細な気遣いをしているそうです。(佐藤可士和の超整理術)
まれに全く無頓着でも数学的センスがある子に出会います。そういう子には、短所よりも長所を伸ばすようにします。
ノートの取り方、教材の扱い方、文房具、字の書き方、これすべて「美」の追求です。
できれば「美」的感覚を早いうちにつかむのがよいでしょう。
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