こんな話 2017年11月25日|土曜日
私の脇差 SAILOR
秋も深まり肌寒い季節になると、俄然、小論文や作文の添削の依頼が増える。
大学の推薦入試での小論文添削や高校入試用の作文、英作文添削などである。
多い日には何十枚と提出される。授業が終わって見ると提出箱にたくさんある。
これがその日の私の宿題となる。なるだけ翌日には返却する。
朱書きをする時に頼りになるのが赤ペン。
これまで添削のための赤ペンは試行錯誤を繰り返してきた。
以前はゼブラのSARASAの赤ペンを箱買いしてガンガン使った。模試の作文添削担当の時は、一日で一本なくなった。経験上12時間ずっと使っていると一本使い切る。
一本使うごとに消耗品として別れるのがつらい。道具がただ消耗されるのがせつない。
大量生産品といえども50本に1本の確率で非常に書きやすいものがある。
これがびっくりするぐらいいいものがある。
何年か前にセーラーの万年筆に替えた。神戸の老舗文具店ナガサワ文具センターから発売された濃いピンク色のインクをセーラーの万年筆に入れる。
赤すぎず、朱色すぎず、絶妙な赤が出る。ルノワールが好んで使ったという濃いピンク色をモチーフにつくられた特製品。発色がいい。品がある。見やすい。
国産の万年筆といえば、セーラー、パイロットがある。
どちらも水兵さんにちなんだ名前。戦前からある日本が誇るメーカーで職人技が光る。
大洋に今漕ぎ出さんとする心意気が感じられる。
万年筆の持つ、どこか別の場所に連れて行ってくれそうな希望の匂いがあるのだ。
万年筆はセーラーで、インクは「ぬらっと」出る粒子の細かいパイロット製を好んで使うことが多い。
万年筆好きはインクの出を「ぬらっと」と表現する。この時のインクの匂いが何とも言えない。
セーラーは1911年創業で、ペン先に刻まれた、年号と碇(アンカー)のマークが泣ける。
特に縦書きや、漢字・ひらがなの書きやすさは外国製にも負けない。一字が万字。
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