塾の日記 2021年4月18日|日曜日
教養堂の指導① 毎年聞かれるあの質問
教養堂の指導法について連載形式で書きます。
教養堂の大切な指導のひとつ「質問対応」
今回は、「質問」についてです。
教養堂の指導を形作るうえでの基本としていくつかの方針があります。
その一つが、塾生からの「質問」についてです。
極端に言えば、授業をせず、塾生が疑問に思ったことをその都度質問し、それに対して答え、また逆質問することで内容を深めることでも塾は成立すると思っています。
ギリシャの哲学者ソクラテスが対話を重んじたことにも通じます。
教養堂の授業では必ず塾生一人ひとりに質問をする時間を作っています。
さらに塾生の質問の仕方についても、気を配ります。
質問の内容で、その塾生の学習段階が分かるからです。
塾生からの質問には、毎年決まって必ず質問される内容があります。
この種の質問をした場合は、今後その塾生の学力の推移や、志望校にどれだけ合格可能性が出てくるか、と言うようなことも感覚として持つようになりました。
これは個人的な感覚ですが、一番適確に指導の役に立ちます。
指導の軌道修正をすることもあるからです。
これこそが対面式の塾の真骨頂であり、動画のみの映像教材やプリント学習だけの指導、AIを用いた学習システムにはない良さだと思います。
教科書の説明のスキマ
教科書などではさらっと記述されている説明が、よく考えるとなぜなんだろうと不思議に思う箇所が少なからずあります。
それは、そこにあえて触れると膨大な説明を割かなくてはいけなかったり、または上級レベルの知識を要する事柄になり、煩雑を避ける意味で、さらっと流していたりするのです。
論理的に読み込んでいたり、丹念に学習を進めている人には、あれ?と思う箇所が、必ず出てくるものなのです。
そういう時に、
「ここはどうして、こうなんですか?」
と質問されると、
私は、瞬時にその塾生の、問題意識のレベルが分かり、今後の学習の進み方が予想できるのです。
また、これまで教えてきた、「同じ質問をした」塾生の思い出が蘇ります。
私は心の中でガッツポーズをしているかもしれません。
ですから、そのような質問の余地を残すために、授業ではあえて全てを説明するわけではありません。
余白があることで、考える力が伸びるのです。
私は、その種の「毎年聞かれるあの質問」というものを各教科、各分野に持っています。
「孫氏の兵法」の「九地編」には、「衢地(くち)」と呼ばれる、三方に通じる交通の要衝の重要拠点を指す場所があります。
まさにそのような質問が私の中での「毎年受けるあの質問」になるのです。
いわば、学習レベルを図るための、「教養堂の罠」であり、「ツボ」であり、「バロメーター」にもなる至極の質問たちなのです。
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