勉強の話 2018年3月31日|土曜日
攻めるEテレ、高校講座ベーシック国語は必見。
NHK高校講座 ベーシック国語
左から 金田一秀穂先生、 滝沢カレンさん、ナイツ土屋伸之さん
2017年度、NHKの教育テレビEテレで1年かけて放映していた高校講座「ベーシック国語」の番組。
時々なんとなく見てましたが、ある意味新鮮な番組でした。今年度も再放送されるとの事です。
国語学者としても人柄としても親しみのある金田一秀穂先生が講師として担当。
そこに生徒役として、滝沢カレンさん。そしてお助け役として漫才コンビ、ナイツのツッコミ土屋さんがオウム役として声だけの出演。
金田一秀穂先生は国語のエキスパートだから言うまでもなく、ナイツの土屋さんも漫才を見れば分かる通り高度で緻密な言葉の掛け合いを駆使した、言葉のエキスパート。そこに生徒役としてカレンさんが入るという、すごい化学反応が起きていた番組でした。
平日の午後に投げ込まれる不条理な教養バラエティ番組
本放送は平日の午後の昼下がり。私は昨年、塾の準備で自宅で作業することが多かったのですが、息抜きとして何気なくテレビをつけると放映していました。
テレビの空気感は金田一先生と土屋さんが醸し出すホンワカな流れ。
その中にあって滝沢カレンさんの何気ない一言が番組の流れを一気に変えていきます。
変えるというより、むしろ異空間にいざなうのです。
あるであろう台本や伏線、教育番組としての最低限の予定調和を破壊します。
番組のおおよその調和を見すえて視聴する最低限の視聴者と制作者の暗黙の作法を裏切るのです。
教育講座ものとしては編集されてカットしても良いのに、そのまま放映するのです。
これはまさに「不条理」と言って良いでしょう。
それでも国語の達人たちは負けずとアドリブで見事に修正
しかし、そこはさしもの金田一先生と土屋さん。さすが百戦錬磨。適度に流しつつ、柔らかいツッコミと軌道修正を施し番組を成立させます。
まるで宇宙に突如開いたブラックホールをさも自然にふさいでいくかのようです。
しかしある時は、修復不可能だったか、番組終了間際にそれまでの流れを全否定するカレンさんの一言でフェイドアウトしていったことがありました。
この番組の作り方がライブ感の尊重にある気がしました。
出演者の場の空気をそのままライブとして切り取り視聴者に提供するというスタイルが新鮮です。
例えると、ジャズミュージシャンのアドリブの掛け合いの妙を味わう感じです。
予定調和を排した一回性のダイナミズム
塾で日々子どもたちを教えていると、「教育」は決して予定調和として終わるはずがないと実感しています。
しかし、反面、授業プログラムを高度に作り込むと、子どもたちの反応を身勝手に押し付けてしまうことにもなりかねません。
少しの間隙を作ることで、ダイナミックさや発見、驚きなどが生まれます。
そうした気づきをこの番組で得ることができました。
実は私は最近、意識して見るテレビ番組に「Eテレ」の番組の割合が増えてきました。
巷間よく言われる放送の自主規制というものが、Eテレに限ってはあまりない気がします。攻めているな、と思うのです。それが面白いです。
相当な読解センスを要求する滝沢カレンのインスタ
滝沢カレンさんの独特な日本語は、これまでの日本語の可能性を広げてくれます。
『サクッと春の始まりを教えて、サッと散りゆく桜の潔さはなんだかかっこいい女性を見ているようで、私も余計なとこまでは口を出さない女になりたいもんです。
春はこれからだというのに見届けず、あとは草花木々達よろしくな桜にやっぱり惚れた2018年です。
桜の花びらが散り、それをいいことにご飯だと間違えてパクパクしてる素晴らしくぷっくり成長した鯉達に笑わせていただきました。
ご飯をあげたいとこですが、勝手な行動がまた桜とは違うと言われてしまうので、ここは飼い主様にお任せです。
となりにいた友達の肩をふと見るとそこには、桜の花びらがまるで女子会に参加したいかのようについてきたのを見逃しませんでした。…』
インスタグラムの投稿より。絵文字等は割愛。
既存のお約束的な文章のルールを軽々と越えた描写力があります。
読むこちらとしては、うかつな態度で行くと痛い目にあう文章なのです。
センター試験の平均点を下げる小林秀雄の文章
言葉を紡いでいく感じが、評論家の小林秀雄の文章と似ていなくもないのです。
小林秀雄の文章は近年もセンター試験でひさしぶりに出題されていました。
彼の文章に慣れていない平成生まれの高校生はさぞ驚いたことでしょう。
『この世の真実を陥穽を構えて捕えようとする習慣が身についてこの方、この世はいずれしみったれた歌しか歌わなかったはずだが、その歌はいつも俺には見知らぬ甘い欲情を持ったもののように聞えた。で、俺は後悔するのがいつも人より遅かった。と俺はかつて書いたことがある。…』
「Xへの手紙」より。
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