こんな話 2022年5月14日|土曜日
愛知県一宮市 葛利毛織の工場を訪ねて
愛知県一宮市木曽川町にある「葛利毛織」(くずりけおり)さんの本社工場を見学しました。
「葛利毛織工業株式会社」は1912年(大正元年)創業。
この工場は戦前からあり、愛知県のせんい産業を支えて来た伝統の工場です。
建物自体が重要文化財に指定されています。
ずっと一貫して当時のままの「ションヘル織機」を使い、超低速でゆっくり丁寧に織ることで、高品質の反物を作っています。
のこぎり型屋根の工場で自然光の中、「ガシャン ガシャン」というアナログの音とともにゆっくり織られていきます。
経糸(たていと)を緯糸(よこいと)に通す「綜絖通し」(そうこうとおし)を実際に体験することができました。
とても細かい作業で職人技が必要です。
よっぱらいが同じことをしゃべることを「くだをまく」と言いますが、
こちらがその語源になった「管」(くだ)です。
横に見える茶色い木の棒が管でこれに糸を巻かせます。
皇室をはじめさまざまな業界から最高品質の生地の制作の依頼を受けています。
この赤い生地は、200年前のナポレオン時代に使われた生地を再現したものです。
今よりずいぶん厚く丈夫に織られています。
馬に乗って長い道のりに耐えられる生地になっています。
これは織り方の設計書です。
生地が平面的かと思いきや、二重三重構造になったり裏地やすかしなど立体的に織られていることが分かりました。
遠くから見ると色が変わる玉虫色の効果をだすような織り方もできます。
例えば、「石」のような模様の生地にしたいというオーダーであれば、石の色を解析してそれにあうようにドット状に糸を組み合わせて織ります。
顕微鏡で見ないとわからない意匠を施します。
この設定を職人さんが手作業で進めます。
綿、ウール、シルク、リネンをはじめ、アルパカの毛などでも織ります。
工場自体が文化的な価値を持っています。
工場内の見学ではタイムスリップした感覚を味わいました。
ご案内していただいた専務さんのお話は、とても参考になりました。
伝統的なせんい業を守り抜く経営の姿勢の貴重なお話も伺うことができました。
貴重な体験でした。
ありがとうございます。
こちらで学んだことは、教養堂の授業の中で塾生にご紹介します。
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