こんな話  2023年5月10日|水曜日

交通系ICカードでふるさとの香り

ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴ききにゆく

 

「一握の砂」

石川啄木

 

 

先日、出張で久しぶりに東京へ行きました。

用事を済ませた後、ホテルへの道すがらコーヒーショップに立ち寄りました。

 

ちょうど小銭がなかったので、コーヒーの支払いをする時にも交通系カードで支払いました。

東京での移動手段は、JRや地下鉄を頻繁に乗り換えますので、いつも交通系ICカードを使っています。

 

交通系ICカード。

全国に色々ありますね。

 

私がいつも使っているのは「manaca」(マナカカード)。

これは名古屋市交通局のカードで名鉄線にも使えるもの。

名鉄沿線に住む私にとっては必須のカード。

 

名古屋だと他にJR東海の「toica」(トイカ)というカードもあります。

こちらはJR東海の路線内、主に愛知県や岐阜県、静岡県で使えるものです。

マナカはさらに名古屋中心でしか流通していないようなディープさがあります。

教養堂の高校生で電車で通学している子は全員このマナカを持っていると思います。

 

このカード、もちろん東京では全くと言っていいほど認知されていません。

何も言わず出したら、クレジットカードだと思われることも多々。

 

名古屋なら、「マナカでお願いします。」と通じますが、

名古屋以外なら、「交通系でお願いします」と言うようにしています。

 

夕暮れ時の神田のタリーズコーヒーのレジ。

東京の移動で疲れていた私は、

この時ばかりは、支払いにマナカを無意識にだまって出しました。

 

すると、レジの店員さんが、一呼吸置いて

 

「あ、マナカ…ですね?」

と言いました。

 

あれ通じた?

 

年の頃、18か19歳の女性店員さんが嬉しそうにこちらを見て話しかけてくれました。

 

「私も名古屋出身なんです!わぁ、マナカだ。」

 

「そうですか、同郷でしたか。」

 

彼女は嬉しそうに私のカードで決済をしてくれました。

 

ピッ!

 

学生さんのアルバイトかな。

私の教え子も東京の大学へ進学した子はたくさんいます。

彼女のように東京でバイトもしているだろうな。

高校生の頃はマナカの定期券で通学していたんだろうか。

 

名古屋の香りが一瞬しました。

 

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