本の紹介 2020年6月4日|木曜日
『美しい日本語』金田一春彦先生
教養文庫シリーズを持っている出版社6社が教養フェアを行っています。
「チチカカコヘ」という名前のフェアです。
チ:ちくま学芸文庫
チ:中公文庫
カ:角川ソフィア文庫
カ:河出文庫
コ:講談社学術文庫
ヘ:平凡社ライブラリー
ちなみにチチカカ湖はペルーのアンデス山中にあるきれいな湖です。
一度行ってみたいところです。
6社合同で、「人文」「社会」「自然」「芸術」の分野から、厳選した文庫を推薦しています。
近所の大型書店へ寄ったおりに、このような冊子とともに、推薦する文庫が平積みになっていました。
ネットを介した書籍を注文するのは確かに便利ですが、書店に実際に足を運ぶと、このような予定調和でない幸運な本との出会いが待っています。
普段あまり手にしない本をどんどん買ってきてしまいました。
今回、買って来た本はこちら。
『英語の語源』 石井米雄 著 角川ソフィア文庫
『春宵十話』 岡潔 著 角川ソフィア文庫
『五つの証言』 トーマス・マン/渡辺和夫 著 中公文庫
『数学序説』 吉田洋一/赤攝也 ちくま文芸文庫
『数学文章作法 基礎編』 結城浩 ちくま学芸文庫
『14歳からの哲学入門』 飲茶 河出文庫
授業中に折に触れ、紹介するつもりです。
そしてもう一冊。
教養堂のほんの紹介、今回はこちら。
『美しい日本語』 金田一春彦 著 2002年
角川ソフィア文庫
金田一春彦先生のエッセイ集。
「正しい日本語」というのはないと思いますが、「美しい日本語」は心がけ次第で使えると思います。
「物は言いよう」といいますが、確かにそうです。
日々、教養堂の授業や塾生と接する時には、言葉遣いは気をつけるようにしております。
敬語
招かれたお宅で、食事をいただくとき、「醤油を取ってください」という場合の丁寧な言い方を考えます。
①醤油を取ってくださいませんか。
②醤油を取ってもらえませんか。
③醤油を取っていただけませんか。
④醤油を取っていただけませんでしょうか。
⑤恐れ入りますが、醤油を取っていただけませんでしょうか。
という順に丁寧さが増すということを紹介されています。
なぜこの順になるのか、という詳しい文法上の説明は本書に書かれてある通りです。
しかし、ここでふと考えます。
そもそも、敬意を表したい方に、お願いをするということ自体が失礼なのではなのか、と。
このような視点は、教科書だけで勉強しているのでは出てこないですね。
ですから、金田一先生の国語以前の素養が光ります。
「それは醤油でしょうか?」
と聞いてみます。
これは依頼の形ではなく、たんなる疑問文でしかないので、失礼にはあたらないということです。
相手が感の鈍い人で、
「そうです」と言ったきりだったら、その場合はあきらめるしかない……。
2002年に出版された金田一先生88歳の頃のエッセイ。
すでにこの頃の日本語の風景すらも、今ではだいぶ変わって来ています。
日本語の変化を敏感に感じ取っていた金田一先生のこの頃の感覚も、今読むとさらに感慨深いです。
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