本の紹介  2018年9月19日|水曜日

『秘島図鑑』

いくらかかるか知りませんが、もう月へはお金を払えば行けるのですね。

 

しかしいくら大金を積んでも行けない場所がここ日本にいくつか存在するのです。

教養堂の棚からひとつかみ、今回はこちら。

 

『秘島図鑑』 清水浩史 著  河出書房新社

 

世界中でももはやフロンティアの時代は終わったはずでしたが、なんとここ日本では未踏破の場所が結構あるのです。

日本の辺境と呼ばれる場所、異端を知ることですなわち本質を知ることができます。

 

本書で紹介されている33の島のうち、最上級の秘島度★★★★★の中でも最困難の島を5つご紹介します。

 

まずは東京都小笠原村にある、

『南硫黄島』

 

ここは政府により立ち入り禁止区域に指定されています。戦後でも3回しか調査されていない秘境中の秘境です。

自然保護の観点から特別な許可がない限り立ち入ることはできません。

先日、NHKスペシャルで10年ぶりの実地調査の模様を特集していました。

 

虫、植物、鳥のここしか生息していない固有種の宝庫だそうです。

まず夜行性のコウモリが昼間から活動しており、翼を動かさずに飛ぶという、ここでしか見られない生態なのだそう。

 

同じく小笠原村にある、

『沖ノ鳥島』

 

これは地理の教科書でもおなじみの日本最南端の島です。

国土交通省や大手ゼネコンに入れば派遣される可能性はあります。

そういう意味では、『南鳥島』も同様です。こちらは海上自衛隊や気象庁の職員の方が常駐されています。

 

また同じく小笠原村にある、

『西之島』

 

現在も島全体が火山活動の活発により、噴火した火山灰土に覆われて近づくことすらできません。

あと3万年もすれば緑豊かな自然宝庫の島になることでしょう。

そこまで待つほかありません。

 

この3島は日本人ならパスポートなしで行ける国内ではありますが、一般的には行くことのできない秘境中の秘境です。

 

 

さらに幻とされている島が2つあります。

 

沖縄の八重山諸島にある有人島では最南端の「波照間島」の南にある……とされる

『南波照間島』

 

琉球神話にある「ニライカナイ」というあの世につづく島とされています。

波照間島から南の彼方に、見える人には見えるそうですが、だれも行って帰った者はいないという。

 

もう一つは、

『中ノ鳥島』

 

北緯30度 東経154度

かつては地図に記載されていた謎の島でした。

明治時代のアホウドリの一攫千金を狙ったゴールドラッシュの頃に、所有権を主張した人々によって出来上がった幻想の島だそうです。

 

本書は詳細な「秘島の歩き方」と言えるでしょう。

日本にはまだまだ色々な場所があるんだと感心します。

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