本の紹介 2019年1月16日|水曜日
『日本の異界 名古屋』
正月に、三遊亭圓丈師匠の高座を聴いてから急速に地元名古屋のことが知りたくなって、すぐに手に取ったのが本書です。
教養堂のほんの紹介、今回はこちら。
『日本の異界 名古屋』 清水義範 著 ベスト新書 2017年
著者は、名古屋出身の作家で、名古屋弁を用いた小説も多く発表されています。
読み進めていくうちに、「もうこれ以上名古屋を暴き立てるのはやめてくれ」と正直思いました。
それだけ的を得た評論が愛情を込めて書かれてあります。
名古屋人が中央に対して公然と反旗を翻したのは、歴史上、二つです。
一つは、尾張藩主第7代 徳川宗春公が、徳川吉宗の享保の改革で出された質素倹約令に対してでした。
お祭りや芸事を推し進め、規制緩和・開放政策を採り、享保の改革とは正反対の政策を公然と断行しました。
もう一つは、1992年の3月にダイヤ改正された時の、新幹線のぞみ301号の「名古屋通過」問題でした。
いわゆる「名古屋飛ばし」ということで、名古屋人のプライドが痛く傷ついたわけです。
当時、地元の新聞やテレビで大きく取り上げられました。
その昔、つボイノリオが「名古屋人怒らしたら、新幹線止めたるがね♪」と歌っていましたが、もうすこしでそうなるところでした。
この2点をのぞけば、名古屋は控え目な、ある意味堅実な土地柄だと言えます。
本書ではその遠因が、お祭りをやりすぎた宗春公が、幕府からにらまれ、蟄居(引退)させられたので、それ以降、名古屋人は目立つことを良しとしなくなったのではないか、と紹介しています。
名古屋が地元だけで充足する風土が出来上がったのだと。
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