『吉田松陰「孫子評註」を読む』
ついに出ました。
なんと!長州藩兵学者 吉田松陰 先生の『孫子』講義の実況中継。
教養堂のほんの紹介、今回はこちら。
「吉田松陰 『孫子評註』を読む 日本「兵学研究」の集大成」
森田吉彦 著 PHP新書
江戸時代末期、長州藩、今の山口県萩市にありました小さな塾から、明治維新を担う逸材、俊英が綺羅、星のごとく出ました。
その塾こそ松下村塾。
この本は、松下村塾の塾長、吉田松陰先生が、自らの集大成として門下生に説いた、中国古典の兵法書の決定版「孫子」の講義録です。
先生の膨大な古典の素養をベースにして「孫子」を語りつくした講義を、現代の一般読者に分かりやすく解説してあります。
もともと松下村塾で、塾生に講義した「孫子」の講義録。
安政の大獄で松陰先生が亡くなった後、弟子の筆頭、久坂玄瑞がさらにまとめたものです。
そして明治時代になって、日露戦争時の陸軍大将、乃木希典によって世に出ました。
松陰先生の授業風景の一端がここからわかります。
先生の授業に対しての塾生の反応、まさに相呼吸するが如くです。
さらに塾生たちが、この講義をもとにその後どのように具体化し行動していったのかということも、本書は言及しています。
例えば、久坂玄瑞が取った、蛤御門の変の前の、孫子をもとにした行動原理。
高杉晋作による、長幕戦争時の九州諸大名の分断工作や、長州藩内の俗論派との海戦での奇襲攻撃の戦術。
これらが「孫子」のどこに求められているかが分かる、感涙物の本です。
吉田松陰先生が語る、塾の選び方。
「孫子」には、現在でも多く引用される格言があります。
『兵とは国家の大事なり、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。』
『彼れを知り、己を知れば、百戦危うからず。』
『風林火山』
『兵とは、詭道なり。』
『およそ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ。』
『百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり。』
この中でも、私が思う決定的な格言に
『勝ちて後、戦う。』
という言葉があります。
この言葉を用いて、松陰先生は、「塾の選び方」に言及されています。
本来は、学ぶべき先生を安易に求めるのではなく、まずは自分の思いをじっくり確かにし、自分で何かをなそうとしてから、先生を探し求めるべきである。
思いがあるのになかなか達成することができず、為そうとするのになかなか成し遂げられない。
そのような状態まで自力で進んだうえで、大いに発奮して学問を志し、そのために学ぶべき先生を探し求めるのが、本物である。
それなのに、先に先生を求めてから学び始め、それで学んだ結果として何かを行うというのでは偽物である……。
そんな風に松陰先生は話されています。
帰りのサービスエリアで見つけた「吉田松陰先生のポテトチップス」
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