本の紹介 2020年4月15日|水曜日
『パトレイバー2』 緊急事態宣言下の都市
ウイルスは目には見えません。
影響を受けるのは、人間や動物のみ。
目に見える樹木や山河、
そしてビルや家屋、機械、乗り物など、
そういうものには何ら影響はありません。
外出自粛が要請された3月下旬。
桜の木は満開でした。
しばし、このウイルスが、人間にただちに直接的な脅威であると実感するのには、いささかタイムラグがあります。
こういう現下の情勢が、この映画の多くのシーンに、不思議なほど類似的に描写されており、ハッとします。
「気づくのはいつだって遅いのさ。」
というセリフから、すでに平時ではなく戦時下に置かれた状況にあると、主人公と観客は気づかされます。
教養堂のほんの紹介、今回はこちら。
『パトレイバー2 the Movie』 1993年 アニメーション映画
監督 押井守
現在の新型コロナウイルス感染による、緊急事態宣言や都市封鎖などを目の当たりにして、この映画が真っ先に思い浮かびました。
というより、この『パトレーバー2』はこれまでも日本が危機状況に陥った事件の時に、何度も見直したくなるような映画でありつづけました。
それだけ、いつの時代になっても見ごたえのある、しっかり練り込まれた映画とも言えます。
一回の視聴では理解するのが難しく、何回も見ることになりますが、見れば見るほど新しい発見があります。
テロに陥った東京を舞台に繰り広げられる群集劇。
そして、戦後日本とは何か、戦争と平和、個人と組織、架空と現実、日常と非日常などなど、テーマは重層かつ暗示的です。
あわせて見ておきたい作品
映画 『シン・ゴジラ』
総監督 庵野秀明 監督 樋口真嗣 2016年
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