本の紹介 2018年8月18日|土曜日
『バッタを倒しにアフリカへ』
教養堂のほんの紹介、今回はこちら。
『バッタを倒しにアフリカへ』 前野ウルド浩太郎 著 光文社新書
今でも書店に平積みされているベストセラーの本です。
ずっと目にしていましたが、遂に手に取ることになりました。
初め、著者名のミドルネームといい、表紙のコスプレといい、これは「バッタ好きの芸人がアフリカへ行った体験談」であろうと思っていました。
ところがそうではなく、正真正銘の昆虫学者が西アフリカ、モーリタニアへ単身渡り、バッタ問題を解決すべく悪戦苦闘する体験の本でした。
しかしながら、芸人が書いた本以上に面白く、一気読みしていしまうくらい引き込まれました。
まずこれは非常に優れたビジネス書ということです。
未開の土地で、わずかながらの資金をもとに、どうビジネスを成功に導いていくか。
信頼できる人材を確保しながら、その土地の文化に溶け込んで、日本では考えられない難題をいかにクリアしていくか、そういうビジネス書だとも考えられます。
または西アフリカとは一体どんなところなのか、というすぐれた観光ガイドブックにもなっています。
サハラ砂漠でも携帯電話が通じる、昼と夜の寒暖の差、道なき道の進み方、そして魅力的な食事。
アフリカがすごく身近に感じます。
さらには筆者の「ウルド」に込められた秘話。
そして一介の昆虫好きな青年がいかにしてアフリカでのフィールドワークに取り組むようになったのか。
博士号を持ちながら、無収入におちいっても好きなことに邁進するバイタリティ。
青年が成長する過程を描いた、少々自虐的な物語。
そのような色々な読み方ができる本です。
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