本の紹介 2021年2月9日|火曜日
『スマホ脳』
スマホからの影響について、どういった悪影響があるのか知りたいと思って、本書を手に取りました。
筆者はスウェーデン出身の精神科医の先生。
科学的な調査に基づいて、専門家でない人にも分かりやすく説明してくれます。
教養堂のほんの紹介、今回はこちら。
『スマホ脳』
著者 アンデシュ・ハンセン
訳者 久山葉子
発行 新潮新書
初版 2020年11月20日
人間の持つ昔ながらの特性から解き明かす
本書の面白いところは、狩猟採集民だった頃の人類の性質から説き起こしているところです。
その人類の特性から、いかにスマホを手に取ると、脳の快楽作用のドーパミンが働くか、報酬中枢を刺激して、依存しやすいかが述べられています。
スマホ開発者は子どもにスマホを使わせない
なるほど、ギャンブルに似た依存症がスマホにはあります。
SNSの開発者は、開発に人間の報酬システムを詳しく研究し、行動科学や脳科学の専門家も入れているそうです。
なるほど依存になるように初めから作られているわけです。
シリコンバレーの開発者は罪悪感でいっぱいで、決して自分達の子どもには触らせないそうです。
開発したあとの影響力が彼らの予想を超えていたのです。
当のスティーブ・ジョブズがそうでした。
「iPadはそばに置くことすらしない」
と、記者に語っていて、驚かせています。
集中力が削がれていく
机にスマホを置いておくだけで、集中力が削がれるという研究結果も出ています。
本書で詳しく説明がされています。
また勉強の合間に、スマホをこまめにチェックするというのも悪影響があります。
「注意残余」といって、ほんの数秒メールに費やしただけでも元の100%に集中できるまでには何分も時間がかかるそうです。
ですから、スマホでのやりとりをしながら別の作業をするという「マルチタスク」も一見、効率が良いようで、「作業記憶(ワーキングメモリ)」」の力が低下します。
すると「長期記憶」にも影響が出て、結果、勉強ができなくなります。
SNSの影響
インスタグラムなどの比較的10代の女子が使うSNSにも警告をしています。
日々、「完璧な容姿」や「完璧な人生」の写真に触れるので他人との比較をやめられなくなり、それが一層、孤独を感じさせ、自信まで失わせることにつながっています。
と筆者は述べております。
ただ、これは一概にスマホだけ、SNSだけとは言い切れません。
それを動機にして向上心が出れば逆によいのですが、のめり込んで行く危険性はスマホにはあるというのは言えそうです。
お子さんの適性を見極める必要があります。
スマホ使用は、子どもなら、1日〇時間まで
また、「デジタル・デトックス」、つまり一時的にスマホ使用を止めて、一週間後に調査すると、ストレスが減ったり、満足感が増したりする結果が出たそうです。
これは、例えば、スクリーン・タイム機能などで、1日で一体どれくらい使用しているのか計測するのは良いでしょう。
そこそこセーブしているつもりでも、すぐに3時間など越えてしまいます。
筆者は、10代の子たちには1日2時間以内に、とアドバイスしています。
ただ、2時間はやはり長いと私は感じます。
平日で2時間ですと、夜の学習時間が削られると思います。
1時間が限度のような気がします。
スクリーンタイムで一日どれくらい見ているか、日々計測すると良いと思います。
また、ネット検索でしたら、パソコンの方が良いでしょう。
スマホ使用の取り決め
本書を読んであらためて、初めてスマホを持たせる保護者は、あらかじめお子さんとスマホの使い方についての取り決めは必要だと思います。
現在、持たせている場合も使用の見直しをするのも良いでしょう。
時には「デジタル・デトックス」で、スマホを一時的に止める冷却期間を設けても良いでしょう。
筆者が言うようにスマホは依存性が高く、まるで麻薬的な一面もあります。
ある程度の使用の制限は必要でしょう。
スマホの影響の研究は、調査から研究結果まで通常4〜5年かかるそうです。
スマホの進化に研究が追いついていないようで、スマホの影響については、まだまだこれから研究結果が出てくると思われます。
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